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公開日:2015/04/28

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健康格差対策のための挑戦的萌芽研究①

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ケアプロでは、パチンコ店で、セルフ健康チェックの催事を年100回以上実施している。そして、ミニスカートのナース服を着たコンパニオンがいる時といない時で、利用者数に差が出る。そんなヘルスプロモーションを学術的に研究したいと思っていた。
そして、東京大学大学院医学系研究科の近藤尚己氏が、2014年の公衆衛生学会でケアプロのデータを分析して、研究発表した。これは、ミニスカートのナース服を着たコンパニオンが認知に与える効果を応用して、社会的にストレスを抱えた人を健康行動に誘引できるかを検証したものだ。なお、本研究は文部科学省科学研究費補助金挑戦的萌芽研究として「認知バイアス効果を応用した健康格差対策のための新しい行動変容モデルの開発」というテーマで採択された。そこで、本研究の背景や研究結果等について3回に分けて述べる。
まず、個人の健康は年齢・性別・遺伝や生活習慣といった要因がある。そして個人の生活習慣は、学歴・所得・職業・住居・治安・交通などの社会的環境の影響を受ける。
<健康の決定要因>
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社会経済状況と健康行動に注目すると、貧困層ほどアルコールやニコチン、ドラッグの依存症が多い。パチンコに依存している方も多いだろう。
<社会経済状況と依存症の割合(イギリス,1993)>
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出典:WHO Solid facts 2nd
パチンコ店には、パチンコをせず、休憩コーナーに立ち寄るだけの方もいる。冬は暖かく、夏は涼しく、タバコが吸えて、きれいなトイレがあるのが喜ばれているようだ。貧困層や依存症の方にも健康の気づきを提供するために、ケアプロではパチンコ店での健康イベントを行うようになった。
これまで、「健康のためには、たばこを吸ってはいけない」や「健康のためには、1日1万歩きましょう」といった理性的に理解して行動させるヘルスプロモーションが多かった。私の友人の行政保健師は、健康イベントを開催すると参加者は健康意識が高い人が多く、本当にアプローチしたい層になかなかアプローチできないと言っていた。本研究では、今までのヘルスプロモーションの限界を超える可能性がある。(つづく)
※なお、本文は「厚生福祉(時事通信)」への掲載記事に加筆・修正したものです。