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公開日:2015/05/07

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健康格差対策のための挑戦的萌芽研究②

前回から、パチンコ店でミニスカートのナース服を着たコンパニオンがいることで、パチンコ店利用者の健康行動を誘引することに関する研究について述べている。私もパチンコ店の健康チェックイベントで様々なパチンコ店利用者と話す機会があったが、利用者アンケートでは漢字を書けない方も多かった。パチンコ店には教育年数が短い方が多くいる印象を受けた。教育年数別健診未受診者割合をみると、教育年数によって、健診を受ける率が異なっている。
<教育年数別健診未受診者割合>
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健康格差対策の推進は、「健康日本21 第二次」の基本姿勢になっているが、具体策が乏しく、社会ストレスを抱えた人に有効な行動変容理論が欠如している。ステージモデル(無関心期→関心期→準備期→行動期→維持期)においては、特に「行動期」「維持期」が行動変容実現に重要なポイントである。
そこで着目したのは、Kahnemanが1979年に提唱したプロスペクト理論である。認知システムには2つあり、システム1は直感的で早い。システム2は合理的で遅い。本理論ではシステム1は認知バイアスを生み、不合理な選択をする。
例えば、夜食にどちらを選択するか?
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本研究では、社会ストレスが高まると、「システム1」が優位になることを逆手に取って、思わず健康的な選択をしてしまう戦略が有効ではないか?という仮説を検証し、健康格差対策のための新しい介入手法を開発することにした。(つづく)
※なお、本文は「厚生福祉(時事通信)」への掲載記事に加筆・修正したものです。