インタビュー・コラムVol.2 後編です。前編では、内田さんのご自身の経験から訪問看護のエピソードや醍醐味について語ってもらいました。後編では、そんな訪問看護のキャリアに、新卒からチャレンジすることについて、所長としてどう想っているか。中野ステーションの将来展望や訪問看護を志す方へのメッセージを伺いました。

<プロフィール>
内田繭子 うちだ・まゆこ
ケアプロ訪問看護ステーション東京 中野ステーション 所長
看護師

都内の中規模病院での病棟勤務後、住み慣れた家で暮らし・亡くなる方を支えることを志し、訪問看護の道へ。ケアプロの中野ステーションでスタッフとして訪問看護に従事した後、現在はスタッフ18名の中野ステーションで、所長として現場や教育など事業所のマネジメントを行っている。

★前編はこちら:「こう生きたい」を“ちょこっと”支える|所長インタビュー 内田繭子[前編]

 

そんな役割や醍醐味のある訪問看護に、新卒からチャレンジすることについて、内田さんはどう思いますか?

「病気を持った〇〇さん」、ではなく、「〇〇さん」。新卒から訪問看護を学ぶことは、その人自身を捉えることができる看護師に成長していけるという点で、とても意義があると思います。どうしても病気の治療を行うことが多くなる病院で働くと、「病気を持った人を生活者として捉える」という視点が強くなってしまいがちなんですけど、病気云々ではなくて、「その人」自身の全体像を捉えることが自然とできるようになることが強みだと思います。

 

逆に、課題をあげるとしたらなんですか?

課題というわけではないですが、病気に対する治療を見る機会が少なくてイメージが付きづらいので、色んな先輩に積極的に聞いたり、勉強をして学んでいく姿勢が大事なのかなと思います。でも、病院に行っても診療科が違うと経験できることも違うので、どこでも同じことなのかなとも思います。

あとは、全国的に同じような境遇の人が少ないので、不安や悩みを共有する場が少ないということですかね。ケアプロは先輩や同期の新卒訪問看護師がいますが、一般的には職場外で新卒訪問看護師の人と知り合う機会はまだまだ少ないです。なので、お互いに支え合える仲間を自分で探す必要があることも、キャリアの課題だと思います。

 

長いキャリアの視点でみると、新卒訪問看護師はどんな良さがありますか?

長い目で見ると、単純に今後訪問看護が世の中に求められる中で、新卒からその領域を学んで極めていくプロフェッショナルとしての強みは必ずあると思います。

あと、訪問看護から病院へ転職したとしても、在宅での生活を容易にイメージできるという点では退院支援に活かせると思います。特に患者さんへの退院時の指導では、通り一遍の指導ではなく、普段の生活状況や利用サービスの状況を想定して、その人に合わせた退院に向けた指導が行えると思います。


就職説明会の風景。学生さんと座談会です。

例えば、どんな状況ですか。

よくあるのは、一人で暮らしている認知症を患った方のお薬の内服ですね。病院では看護師さんが渡してくれるから問題ないかもしれないけど、家に帰ったら毎食誰かが来てくれるわけではない。1日1回しかサービス関係者が来れない中で、1日3回分の薬があると、あとの2回は全く飲めなかったりするんです。すごく当たり前なことなんですが、家での生活のイメージが持てないと、よく起きてしまうことなんです。でも、その人の生活のイメージを持てれば、1日1回のサービスの中で本人がお薬を飲める方法を考えれたり、そもそも1~2回にお薬をまとめられないかと、普通に考えて退院をサポートすることができます。お薬以外にも、在宅のイメージを持てるとできることはたくさんあって、そういう看護師が増えれば、退院してから困ったり、再入院してしまうということも減らせると思います。

 

内田さんから見て、中野ステーションってどんなステーションですか。

比較的若いスタッフが多いので、誰かが教えてくれるというのではなく、みんなで考えて、お互いに教えながら、一緒に看護を創っているチームだなと思います。それぞれキャリアも違うので、意見や考え方が違うことも多いんですけど、誰か一人が主導するのではなく、みんなで解決していく風土があります。

地域柄としては、中野区は神経難病の利用者さんが多くて、ALSや多系統萎縮症、パーキンソン病など、医療依存度が高くて24時間365日対応の訪問看護が必要な方がとても多いです。一方で、中野区は24時間365日、すぐに出動できる体制を整えているステーションも多くはない現状があるんです。なので、ケアプロとしても、難病を患っていたとしても、家で暮らしたい方が安心して暮らせるよう貢献をしていきたいと思っています。

今後、中野ステーションをどんな組織にしていきたいと思っていますか。

今後も、利用者さんに対して一緒に悩み続けられる看護師のチームであり続けたいと思っています。それは、利用者さんの「こう生きたい」という想いに寄り添って悩めるということです。「こうあるべき!」ではなく、その人を理解して看護を行う訪問看護師をたくさん増やしていきたいと思います。

あとは、地域においても、ケアマネさんやヘルパーさん、先生など、色んな人に頼ってもらえるようにしていきたいと思います。ステーション全体だけでなく、スタッフ一人ひとりが、地域の方から頼られるようなチームにしていきたいと思っています。

 

さいごに、訪問看護師になりたい・興味がある方にメッセージをお願いします。

訪問看護ってすごく魅力的で、楽しくて、やりがいがあって、看護の本質じゃないかなと思うくらい、その人の今までの人生も含めて看護ができる仕事なので、訪問看護にチャレンジしたい気持ちがある方は、ぜひ一歩踏み出して、チャレンジしてみたらいいんじゃないかなと思います。その人の「こう生きたい」を支える看護師がたくさん増えてくれたら嬉しいです。

 

★前編はこちら:「こう生きたい」を“ちょこっと”支える|所長インタビュー 内田繭子[前編]

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