9月9日は、救急の日です。
本日、「サッカーナース」のプレスリリースを行いました。
サッカーイベントとサッカー好きの看護師をつなぎ、救護や感染対策に取り組むサービスです。
今月から首都圏を中心に全国のサッカー大会で、体調確認や救護運営を行います。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の中で、医療界のみならず、スポーツ界を含め社会全体での対応が求められています。
サッカーナースは、感染防止策を徹底するための具体的なアクションやイベント会場の重点消毒ポイント、ゾーニングなど一緒に考え、計画を立てます。
そして、熱中症を含むスポーツ関連の外傷や事故の発生を予防することで、日本の医療体制を守ることにも貢献します。
私自身も、小中高とサッカーをしていたので、仲間や関係者の皆様と、本事業に取り組めることに喜びを感じています。
日本ブラインドサッカー協会の松崎さんやサッカー協会の重鎮の方々、サッカー好きのナース、サッカー部時代の先輩&丸山さん(サッカークラブ経営)、高校同期(スポーツメディア経営)、小野さん、松田さん、東さん、小宮さん、鈴木さん、慶應のスポーツ医学の先生ら・・・本当に多くの方々に相談させていただき、感謝しています。
サッカーナースの立ち上げ経緯
移動支援プラットフォーム「ドコケア」の立ち上げの中で、病や障害があっても安心して外出できる世の中をつくるためには、スポーツやコンサート等のイベントでの救護や健康支援が重要であると考えました。
スポーツ×看護のキャリアを歩む古川がケアプロにジョインし、いろいろとリサーチしましたが、早い段階で、初期の重点領域を「サッカー」に絞り込みました。
サッカーナースは、社会的意義が大きく、ケアプロの強み(人材や業界ネットワーク、ビジネスや教育のモデルづくり)が活かせる領域です。
日本サッカー協会(JFA)では、サッカーに携わるすべての人々をサッカーファミリーとよび、2015年に526万人となりました。
サッカーは、少年、女子、学生、プロ、障害者、シニアなど、ダイバーシティインクルージョンといえるスポーツというか、世界です。
2030年にサッカーファミリー800万人という目標があり、救護ニーズは高まる一方です。
「FIFA医学評価研究センターF-MARCサッカー医学マニュアル」では、競技会中の傷害発生率は1.3~4.7件/試合、平均2.7件/1試合 (Junge et al. 2004)ということで、傷害がほぼ毎試合で発生しています。
そして、「東京都サッカー協会における会場ドクターの10年間の活動報告(望月ら、2013)」では、選手では整形外科疾患、観客では内科系疾患の割合が高いことがわかっています。
<選手全体>
1.膝挫傷・靱帯損傷
2.下腿挫傷・骨折
3.胃腸炎・腹痛
4.足挫傷・骨折
5.頭部外傷
<観客全体>
1.胃腸炎・腹痛
2.感冒
3.頭痛
4.頭部外傷
5.足挫傷
サッカー業界のコンプライアンス向上
今、コロナと熱中症が注目されています。
「JFA熱中症対策ガイドライン」では、「WBGT31℃以上では、会場に医師、看護師、BLS(一次救命処置)資格保持のいずれかを常駐させる」としているものの、実際には、すべての試合でガイドラインを順守できていない社会的課題があります。
何か問題が起きたときに主催者の責任
〔JFAグラスルーツ宣言(2014年5月、抜粋)〕においても、「安全に、安心してサッカーを楽しめる環境を、しっかりと整えます。」と宣言されており、業界全体としてコンプライアンスを高めることが求められています。
サッカーナースという新市場創造
スポーツ医学の専門家やサッカー業界の方と話すと、日本は、この分野で遅れている国であるという認識です。
イギリスでは、スタジアム側で、救護運営もするなど、安全な環境が整えられています。
サッカー協会や自治体、サッカーチーム、イベント会社等と連携させていただきながら、仕組みを構築していきます。
ただ、救護の予算を確保していないという経済的な課題もあります。
そのため、できる限りコストを抑えられるように(旅費交通費等をかけないように)、全国各地でサッカーナースを手配する必要があります。
最近、とある都道府県の看護協会に相談したところ、地域で救護運営をする方をご紹介いただきました。
病院や施設の中だけでなく、ナースが、地域の様々な場所で貢献することになります。
精神科ナースや小児科ナースのように、サッカーナース、〇〇ナースが増えていきます。
サッカーナースをはじめてみて
サッカースタジアムや会場で、選手や観客の姿を見ると、勇気をもらい、爽やかな気持ちになります。
一方で、ラフプレーが多いチームや試合を見ると苦しい気持ちになります。
そのようなチームの試合ほど、傷害発生率が高いです。
そのため、サッカーナースの救護報告書のデータベースによって、どのチームや試合がラフプレーが多いといったこともわかります。
究極は、選手がコンディションを整え、スポーツマンシップで試合に臨み、観客も予防的対応とAED等の操作ができる人が増え、サッカーナースの救護の役割がなくなっていくことを期待しています。
サッカーナースの先
全国各地のサッカーイベントの救護運営システムを構築した後は、その他のスポーツや大型イベントでの救護にも対応していく戦略です。
マラソンや花火、ジャニーズのコンサートなどがあります。
すでにペットの大規模慰霊祭やハンドボール大会、子供の合宿等の依頼がありました。
人生において大切な瞬間であるスポーツやエンターテイメント、行事などが、安全に行われるように、ヘルスケアの専門家として、取り組んでいきます。
9月9日が、救急の日に加えて、サッカーナースの日になるよう、社会インフラとなるように、取り組んでいきます。
※東京オリパラの開催はどうなるかわかりませんが、パブリックビューイング会場を含めて、高齢者の熱中症等の救護ニーズがあるため、東京オリパラにも関わっていけたらと思います。