インタビュー記事Vol.3 後編です。前半のプリセプターになっての変化や気付きに続き、後編では3年目の訪問看護師として、訪問看護やその醍醐味についてインタビューを行いました。さいごには、今後さらなる成長に向けて、お二人の抱負を伺わせてもらいました。

<プロフィール>
黒堀真由 くろほり・まゆ
ケアプロ訪問看護ステーション東京 中野ステーション
'16 慶應義塾大学 看護医療学部卒。大学卒業後、ケアプロ訪問看護ステーション東京に入職。小児看護にも関心があり、入職2年目より小児の訪問看護にも携わっている。3年目より、1年目の新卒スタッフのプリセプターを担当。趣味は写真を撮ること。

小川奈美 おがわ・なみ
ケアプロ訪問看護ステーション東京 足立ステーション
'16 島根県立大学 卒。大学卒業後、ケアプロ訪問看護ステーション東京に入職。「家で暮らす」ことを支えたい想いで、島根から上京。2年目・3年目に、1年目の新卒スタッフ1名ずつのプリセプターを担当。趣味は食べること。

★前編はこちら:❝新卒訪看❞ から プリセプター になって|プリセプター・インタビュー[前編]

 

お二人ももうすぐ3年目が終わろうとしていますが、振り返ってどうですか?

黒堀:3年間、本当にあっという間で、後輩から「黒堀さんってこの時期にはどんな感じでしたか?」って聞かれても、すぐに思い出せなくなっちゃいました。(笑) 
真面目な話に戻すと、ここのところ訪問看護の面白さも感じる半面、難しさも感じるようになってきました。1年目の時、所長が「病院にいた頃は業務が一通りできるようになると『これで一通りできるようになったな』って思ってたけど、在宅はどれだけやっても『できる』っていう気にならない」って言ってたんです。そのころは、正直「それだけ深いんだな~」程度にしか思えなかったんです。でも、経験を積んで色んな利用者さんやご家族と関わっていく中で、訪問看護はただ疾患を看るだけじゃなくて、家族の関係性や、入っているサービスの種類や特徴もふまえて、どのようなアプローチが望ましいかについても考えることが大事だということに気づきました。他にも、一看護師としてどう動くかとか、訪問看護のチームとしてどう動くかとか。一人ひとりのケースに合わせて考えなきゃいけないから、本当に奥が深いっていうのを3年目になって感じるようになりました。「一筋縄にはいかない!」そんな感じですね。

小川:たしかに「これでOK」みたいなことはなくて、常に不安なことが具体的になっていて、どんどん課題がみえてくる感じ。あとは、最近ターミナル期の方の訪問も増えてきて、スピード感を求められることも増えてきましたね。訪問看護ってじっくり関わるっていうイメージを持たれることがあるけど、退院してきて数日でご逝去される方もいるので、1回の訪問でどこまで調整できるかという難しさも感じます。先輩と同行していると、1回の訪問で利用者さんとの信頼関係を結んで、一方的に管理することなく色んな調整をスピーディーに行っているんですけど、自分はまだそんな風にできる実感が持てなくて、新規の利用者様のサービス導入の調整が次の課題ですね。


ケア会議でのファシリテートにチャレンジ

3年目の立場から見る、訪問看護の醍醐味は?

黒堀:看護師なんだけど、医療職としての側面は控えめにしていくというか、看護師なんだけど管理じゃなくて利用者さんと一緒に考えていく。利用者さんの意思決定をちょっと待つっていうのがすごく大事だと思います。その塩梅が難しくて、みんな悩んだり苦しかったりするところでもあると思います。私は利用者さんのこれまでの仕事のことや家族のことを伺うことがすごく好きなんですけど、そこに利用者さんの魅力やキャラクターが詰まってる気がするんです。そこまで人のことを知る仕事ってあまりないと思うんだけど、色んな人生の先輩から学びながら仕事ができるところが私は好きです。

小川:私が家に帰りたい人の想いを叶えたいと思って訪問看護師になったので、「~してあげよう」って気持ちが大きかったんですけど、教えてもらうとか、気づかせてもらう、ケアしてるつもりが励まされてたり、そういう「もらうこと」がすごく多い仕事だなと思います。心苦しい場面などももちろんあるんですけど、ほっこりする場面やご家族に暖かく見守られてのお看取りの場面とかもあるし、色んな価値観や人生に触れて、学びが多いなと思います。

黒堀:自分がどう思っているかを良くも悪くも突きつけられる。自分の嫌なところとか、「こうすべき」って思っちゃう自分、優しくなれない自分と向き合わされたり。。。つい看護師は、病気のことや薬のことばかり利用者さんに言っちゃうんだけど、その人にとっての大事なことは別にあって、それを知った時、今までの考えは個人的な価値観だったなって初めて気付かされるよね。

小川:「言葉にされないけど、きっとこう思ってるんじゃないかな」っていうことがあっても、実は自分が「こうであってほしい」と思っていることだったりするよね。利用者さんとちゃんとすり合わせをしていくことが大事だなって学んだ気がします。

黒堀:無意識なんだけど、「こうあってほしい」って、すぐ思っちゃうよね。

小川:それって、看護師の押し付けだったりするから、ちゃんと「困っているのは誰か?」ということを考えなきゃいけないよね。実は自分が困っているだけで、利用者さんは何にも困ってないってことはありがちだから、ちゃんと利用者さんの視点で考えることが大事だなって思います。そういうことにちゃんと向き合えるし、向き合わなきゃいられないのが、訪問看護の醍醐味な気がします。


3年目に学会発表を行いました!

今後の抱負はありますか?

小川:私は、契約と新規の利用者様のサービス調整ですね。これまでは先輩が汲み取ってきたニーズと先輩が立てた計画に沿っての看護が多かったですけど、これからは自分で初対面の新規の利用者さんと信頼関係を築いて、ニーズを引き出した上で、その人にとって必要な看護を行うことができるようになりたいです。

黒堀:私は、後輩や新人さんとの振り返りの難しさに気づいたので、相手にもっと気づきを得てもらえるような伝え方ができるようになりたいなと思います。教えるってほどじゃないですけど、自分から誰かにケアを引き継ぐ時に、ケアで大事にすべきところをちゃんと引き継げるようになりたいなと思ってます。

 

さいごに、訪問看護師になりたい看護師さんや学生さんへのメッセージをお願い致します。

黒堀:「暮らしに関わる仕事がしたい」という気持ちが大事だと思います。今まで話したみたいに訪問看護にはやりがいもたくさんあるけど、もちろん大変だったり辛いこともあるから、「利用者さんやご家族と関わるのが好き!」とか「利用者さんの望む生活を支えたい!」とか、そういう気持ちが訪問看護をする上で大切だと思います。きっと、辛い時に、自分を支えてくれるのも、本当に訪問看護がやりたいかって気持ちだと思います。

小川:やりたい気持ちがあれば、ぜひ挑戦してほしい。利用者さんやご家族が色んな考えをもっているように、看護師もそれぞれ違う考え方や看護観があって、そういう考え方や看護観を色濃く見て触れられるので、そこは訪問看護の良いところなのかなって思います。「色んな考えがあって楽しい、素敵だな」って思える人は楽しく働けるんじゃないかなって思います。

黒堀:訪問看護を楽しいか、面白いって思えるかが大事だよね。

小川:そうそう、そういうビビッときたものがあれば、挑戦してほしいなと思います。訪問看護師として初めて単独で訪問する時とか、私達には人間性というか「誠実さしか武器はありません!」っていう状態なので、訪問看護が楽しいかとか、誠実に向き合えるかってことが、訪問看護師になる上で大事だと思います。

 

★前編はこちら:❝新卒訪看❞ から プリセプター になって|プリセプター・インタビュー[前編]

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