高血圧とは

公開日:2024/06/28  最終更新日:2024/07/01

〇高血圧とは

 「高血圧」とは、「収縮期血圧が140mmHg以上」か 「拡張期血圧が90mmHg以上」のことを言います。 収縮期と拡張期の両方が高い場合だけでなく、どちらか一方が高くても高血圧です。 血圧が高い状態が続くと、脳の血管が破ける「脳出血」、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、心臓の冠動脈がせまくなる「狭心症」などを引き起こす恐れがあります。

 日ごろから測定し、適切な生活習慣ですごし、高血圧にならないようにこころがけましょう。

〇そもそも「血圧」とは

心臓が全身へ送り出された血液が血管の壁を押すときの圧力のことです。

心臓が縮んだり広がったりすることで発生します。

心臓が縮んだ時→収縮期血圧。「上の血圧」「最大血圧」ともいう

心臓が広がった時→拡張期血圧。「下の血圧」「最小血圧」ともいう

〇基準値

正常血圧  収縮期血圧120mmHg   拡張期血圧80mmHg未満

高血圧   収縮期血圧140mmHg以上 拡張期血圧90mmHg以上 

高血圧の値より低くても「正常高値血圧」「高値高血圧」もあります。

正常高値血圧  

収縮期血圧120~129mmHg  拡張期血圧80mmHg

高血圧の一歩手前で、注意が必要なレベル。高血圧予備軍

高値血圧         

     収縮期血圧130~139mmHg 拡張期血圧80~89mmHg

→これまで通りの生活を続けていると高血圧へと移行してしまう可能性が高い範囲生活の改善により正常血圧に戻りやすい段階

→正常高値血圧、高値血圧の段階で対策を行い高血圧にならないようにしましょう。

〇受診の目安

上の血圧が140~159mmHg、下の血圧が90~99 mmHgで1か月経っても下がらなければ医療機関を受診しましょう。

上の血圧が160mmHg以上、下の血圧が100mmHg以上 の場合はすぐに受診しましょう。

〇高血圧の種類

高血圧には、高血圧の原因となる基礎疾患がない方に起こる「本態性高血圧」と原因となる基礎疾患がある方に起こる「二次性高血圧」があります。日本人の高血圧の約8~9割が本態性高血圧と言われています。

 

1)本態性高血圧について

遺伝的要因(体質)や食塩の過剰摂取、運動不足、肥満などさまざまな要因が組み合わさっておこります。中年以降に見られます。食生活を中心とした生活習慣の修正が予防や治療にきわめてたいせつになります。

★本態性高血圧にもいろいろある(詳しくはこちらをクリック!)

①持続性高血圧:どのような状況でも血圧が高い

②仮面高血圧:健康診断や診察時は正常にもかかわらず、家庭や職場で140/90mmHg超える方

・夜間高血圧:本来血圧が1日のうちで最も低くなるはずの夜間に低くならないタイプと逆に高くなるタイプがあります。夜間平均120/70mmHg以上が基準。

※睡眠時無呼吸症候群、心不全、腎不全、自律神経障害などが関わっています。

・昼間高血圧(ストレス高血圧):ストレスにさらされているときに血圧が高くなる状態です。

職場や家庭での精神的ストレスが関わっていると言われています。

職場で血圧が上がる人は、肥満傾向の人や、家族が高血圧の場合に多く見られます。

・早朝高血圧:早朝に血圧が高くなる状態。

朝方に急上昇するタイプと夜間高血圧でそのまま朝まで高いタイプがあります。

「持続性高血圧」よりも脳心血管病のリスクが高いので要注意。

※飲酒、喫煙、寒冷、起立性高血圧、加齢、睡眠時無呼吸症候群、降圧薬の持続不足が関わっています。

③白衣高血圧:家庭や職場では正常なのに、健康診断や診察時には、不安や緊張から一時的に血圧が上がってしまい140/90mmHgを超えてしまう。

家庭血圧が本当に正常であれば治療の必要はない。

ただし、白衣高血圧は将来高血圧になる可能性が高いので、血圧測定を継続することが大切です。

 

2)二次性高血圧について

本態性高血圧にくらべると若い人に多くみられます。高血圧となっている原因が分かっているため、原因となる疾患の対策をすると血圧が下がる事もあります。

①腎臓の働きが悪くなって塩分と水分が排出されにくくなっている

②副腎など内分泌腺の病気で血圧を上げるホルモンが身体の中に増えている

③血管の病気

④ほかの病気のために使っている薬が原因となる。

 

高血圧だとどうなるの?

 血管が傷ついて、「脳梗塞」や「心筋梗塞」など重大な病気へと進展します

 高血圧は、サイレントキラー(静かなる殺人者)と言われるようにほとんどの人では自覚症状がありません。しかし、絶え間なく血液が血管の壁に大きな力でバンバンぶつかり続けています。

すると血液の圧力によって血管の内部には傷がつき、傷がついたところに悪玉コレステロールなどが蓄積するようになります。結果、血管の壁が硬くなる動脈硬化となります。動脈硬化は、全身の血管で起きるため脳で起きている場合は「脳出血や脳梗塞」、心臓の場合は「狭心症や心筋梗塞」などが発生するリスクを高める要因となります。

脳梗塞や心筋梗塞などで脳がダメージを受けると、認知症の20%を占める、脳血管性認知症が発生するリスクもあがります。

〇高血圧にならない生活

1)食事:塩分摂取量に注意しよう

 塩分は身体を維持するために大事なものですが、摂りすぎて血液中の濃度が高くなると塩分濃度を薄めようと水分を血管の外から血管の中へとりいれるようになってしまいます。塩辛いものを食べ過ぎた時に水分がほしくなるのはこのためです。

 水分をたくさん取り込んだ血管はパンパンに張り詰めたホースのようになります。この状態が高血圧です。

対策:塩分摂取量をひかえる。減塩することで血圧は下がります。目標は1日6g未満(日本高血圧学会)です。 

具体的な方法

①漬け物、つくだ煮類を控える

②めん類のつゆは全部飲まないで残す

③ハム、魚の干物、かまぼこ、ちくわなど食塩を含む肉や魚の加工品は控える

④しょうゆやソ-スはかけるよりも、小皿に入れて付けて食べる

⑤薄味のもの足りなさを補う工夫をする(出汁や酢の活用など)

⑥塩分(ナトリウム)を体外に尿として排出する働きのあるカリウムを一緒に食べる

2)飲酒:適正飲酒を心がけようると血圧は下がります

お酒を飲んだ直後は、血管が一時的に拡張して血圧は下がります。しかし、多量の飲酒を続けると高血圧の原因になるといわれています。また、おつまみなどで塩分過多になりがちです。

3)体重:適正体重を維持しましょう

・3%以上の減量で血圧が下がることが証明されています。BMI≦25が目標です。

・適度な運動は、心拍数を増やし心臓の収縮力も高まります。ストレッチや散歩、軽いジョギング、ラジオ体操などがお勧めです。

4)その他:生活の中で血圧が上がる要因

①気温差 

外気温が低い日の「部屋の中と外気温の差」「入浴時の居間と脱衣所・浴室の温度差」に気を付けましょう。寒いところに行ったときに血圧が上がります。浴室暖房や防寒具で対策をしましょう。

②ストレス 

心理的・社会的ストレスが高血圧になる方は、そうでない方の2倍あると言われます。

ストレスをためないように趣味などをみつけ発散しましょう。

③便秘 

いきんだときに血圧が上がることがあります。便秘には食生活・運動習慣が関係しています。適切な食事・適度な運動を心がけましょう。

④喫煙

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて血圧を上げます。禁煙しましょう。

〇まとめ

高血圧を放置すると心臓や脳などに影響があります。

日頃の生活を振り返り、血圧が高くならないように気をつけましょう。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

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