ケアプロではセルフ健康チェックの現場スタッフとして離職中の臨床検査技師を採用した。検体測定室のガイドラインにおいて、検体測定室に配置する必要がある「運営管理者」や「精度管理責任者」の一つの資格として臨床検査技師が含まれたからである。ケアプロの現場で検査のプロとして活躍しており、今後も採用を加速させていく。そこで臨床検査技師の成り立ちや求人市場について整理する。
まず臨床検査技師の資格等が定まったのは、昭和33年4月23日にできた「臨床検査技師等に関する法律」に遡る。臨床検査という言葉の意味は、臨床という診療目的で行われる患者の状態を評価するための検査である。一方で、検体測定室は診療の用に供するものではない測定である。そのため、もともとの臨床検査技師という資格の成り立ちの背景からは考慮されていなかった働き方が、検体測定室のガイドラインの出現によって加わっていったことになる。
昭和46年から平成24年までの臨床検査技師国家試験の累計合格者数は179,598人であり、昭和46年から平成1年が106,325人、平成2年から平成24年:73,273人/となっており、減少傾向にある。
なお、実際に働いている臨床検査技師は5万人であり、職場は3万人が病院で、ついで検査所、研究所、保健所、学校となっている。医療界全体から見ると、日本における医療従事者は140万人で、看護師が75万人、医師が15万人となっており、5万人はそれほど多くはない。臨床検査技師資格保有者のうち臨床検査技師として働いていない潜在臨床検査技師が約13万人いるため、このうち0.1%の130人ほどをケアプロとしては採用したい。
現在の臨床検査技師の求人市場は、買い手市場と聞く。医療施設における臨床検査技師の求人減少の原因は、かつては機械化が原因であり、その後は、診療報酬点数引下げにより採用枠を削られたこと。近年は、微生物検査の増額や外来迅速検査加算の増額など改善のきざしもあるが限定的となっている。
給料相場は、臨床経験2から3年の場合、東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏における手当込みの年収は300万円から500万円程度となっている。名古屋、大阪、福岡などの地方都市はこれより1割減、その他の地方は1.5~2割減である。
臨床検査技師は、国家試験に合格して就職したとしても、現場で一人前として働けるようになるまでには数年かかるといわれている。近年は就職先の多くが即戦力を求める傾向が強い。検査技術の高度化などで離職した後に再就職するハードルも高い。
しかし、私がこれまでお会いしてきた技師会の方々や友人の臨床検査技師らは誠実な方が非常に多いと思っていた。臨床検査の専門医の方々からも臨床検査技師の高度な知識や技術については伺っていた。
そこで、ケアプロでは検体測定室のガイドラインにおける「運営管理者」や「精度管理責任者」の人材として臨床検査技師の採用を強化していくことにした。セルフ健康チェック利用者に対する検査内容の説明、検査機器の精度管理など市民に身近な活躍の舞台となれば幸いである。
※なお、本文は「厚生福祉(時事通信)」への掲載記事に加筆・修正したものです。