ケアプロでは、在宅医療の推進のために、
新卒訪問看護師を増やすための取り組みをしています。
この度、ケアプロは、『きらきら訪問ナース研究会』の一員として、
「新卒看護師のための訪問看護事業所就業促進プログラム開発
に関する調査研究事業報告書
(平成26年度一般社団法人全国訪問看護事業協会研究事業)」
の発行に関わりましたのでご報告いたします。
■『きらきら訪問ナース研究会』メンバー
共同代表 山田 雅子(聖路加国際大学看護学部)
共同代表 川添 高志(ケアプロ株式会社)
上野 桂子 (全国訪問看護事業協会)
宮崎 和加子(全国訪問看護事業協会)
岩本 大希 (ケアプロ株式会社)
長江 弘子 (千葉大学大学院)
小瀬 文彰 (ケアプロ株式会社)
佐藤 直子 (聖路加国際大学看護学部)
■主な内容は下記のとおりです。
1, 新卒訪問看護師の事例発表および教育セミナー
2, 新卒訪問看護師に関する調査(全国の訪問看護事業所向け)
3, 新卒訪問看護師に関する調査(全国の看護教育期間向け)
■本報告書は、下記より、ダウンロードできます。
http://www.zenhokan.or.jp/surveillance/research_list.html
■下記、報告書の「はじめに」の抜粋です。
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「きらきら訪問ナース」を増やしていこう。新卒の看護師であっても、訪問看護ができる人材を増やしていくために大学、業界団体、事業者でスクラムを組んで動き出した。
私たちが運営するケアプロ訪問看護ステーション東京でも、新卒を採用している。きっかけは、東日本大震災での孤独死問題に直面したことであり、これは将来の日本の縮図だと思った。2025年以降の看取り難民問題に対応してくために、どのような訪問看護が必要かを考えた際、事業戦略の一つは若手看護師の採用と教育に定まった。ベテラン看護師の採用が一般的な訪問看護業界において、若手看護師の採用と教育ができれば量的な拡充ができる。また、24時間対応を求める訪問看護ニーズに対応するために、大病院の夜勤を支える若い力と同様に訪問看護業界にも若い力を取り込むことで質的に向上する。そこで、2012年5月から事業を開始し、2015年4月現在で新卒訪問看護師を含めて看護師は25名となり、平均年齢は29歳となった。
ただ、看取り難民問題は看護業界全体で取り組む必要がある。厚生労働省資料で2020年に看取り難民が30万人と推計されており、現状の訪問看護師数4.4万人に加え、看護師一人あたり年15名の看取りをすると仮定すると、30万人÷15名=新たに約2万人の訪問看護師が必要である。もし、全国約7千箇所の訪問看護事業所に、新卒を含む若手の看護師が3名ずつ採用されれば、7千箇所×看護師3名で2万1千人の訪問看護師の増加となる。
しかし、実際に新卒採用をしている訪問看護ステーションは2%にすぎず、新卒に対するプログラムを持つのは全体の5%程度であった(2008年度厚生労働省老保事業「新卒看護師等の訪問看護ステーション受入れおよび定着化に関する調査研究事業」)。
一方で、日本看護系大学協議会が2001年に行った進路状況調査では看護系大学卒業生で訪問看護事業所等への就職を希望する人が19.6%である。また、これまで訪問看護事業所では新卒を採用することは困難とされてきたが、平成24年文部科学省先導的大学改革推進委託事業の研究で「訪問看護師のキャリアパスを見据えた基礎教育と卒後教育および両者の継続性」が提言されるなど、看護教育にも新たな発展が求められている。
そこで、聖路加国際大学教員、千葉大学大学院教員、全国訪問看護事業協会関係者に声がけし、弊社からは私と岩本大希、小瀬文彰が参加して、「きらきら訪問ナース研究会」での取り組みを開始することになった。
本調査・研究を進めるにあたり、また、新卒を既に受け入れている事業者の皆様には貴重な事例発表をして頂き感謝致します。また、本会が企画した「きらきら訪問ナースの会」に参加いただいた皆様に感謝いたします。そして、新卒の採用や教育などの実態について調査協力して頂いた訪問看護事業所の皆様と看護教育機関の皆様に感謝致します。「新卒の訪問看護師の増加」→「訪問看護の拡充」→「看取り難民を出さない」という流れを作っていくことで恩返しできれば幸甚です。
きらきら訪問ナース研究会
共同代表 川添高志
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看護教員、訪問看護師、訪問看護経営者などに、
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