「まあまあやんな・・・え、高いの?あかんやんっ」
大阪のパチンコ店でのこと。
そう、パチンコ店で遊戯する人には不健康な方が多いので
そのような人たちにこそ健康の大切さに目覚めて欲しい。
そんな想いから、パチンコ店で血糖値や中性脂肪、
骨密度、肺年齢、血管年齢などのイベントを実施。
ジャンジャン音がする中で、白衣を着たケアプロナースたちが登場。
検査機器などを手際よくブースに並べて準備。
マイクパフォーマンスで「え~本日は、ケアプロの・・・」とはじめ、
パチンコ台に一つ一つ回ってお辞儀をしながら、
「血糖値などの検査はいかがですか?」と。
コーヒーいかがですかではないので、
パチンコしているアンちゃん、
おばちゃんの中にはぶったまげる人もいる。
さて、パチンコ業界について私は門外漢だった。
しかし、不健康そうな方が多いとは思っていた。
そして、調べれば1000万人の参加人口で市場規模は19兆円ほど。
単純計算で、一人あたり190万円!?
そのため、広告宣伝予算も有り、広告代理店業者も多い。
イベント予算も組んでいただけそう。
もちろん、依存症や受動喫煙、風俗営業法の許可を得ていても
現金や有価証券との交換という賭博行為など社会問題がある。
だから、社会貢献イベントはマッチ。
しかし、規制当局の警察が射幸心を煽るイベントであるかどうかで
イベントが実施できるか心配だった。実際、NGの地域もあった。
「でるでるよ東京(仮称)」の店長と初めて合った時は衝撃で、
巨漢でたばこを吸われていて、でも非常に優しくて、
よしやろう、とすぐに決めてくださった。
お客さんの反応は、「俺には関係ない」と通り過ぎる方。
「受けられてよかったわ。ありがとう。」という方。
「何やってるの?」とナースと話して帰る方。
「うわっ。これ、めっちゃ嬉しいわー。運動してるからねぇ、ずっと。」
「医者から歩けいわれて、毎日歩いてるねん。
・・・あ、お酒は毎日飲む・・それか。」
測定してみると検査結果に要受診が2つで
「薬もらってるけど、飲んでないの」と話される方。
20代で随時血糖が200を超えている方も多く、
「毎日1食ですね。だいたいファミレスか牛丼屋に行って」
といった人も。
パチンコ店での仕事が終わると喉がカラカラになったり、
身体がタバコの臭いがしてしまうことが多いのだが、
やりがいが大きい仕事。
そして、今後は東大の先生方と研究費がとれたので
パチンコ店に来る方の行動変容モデルの研究をしていく。
(例えばナース服はロングよりミニスカートの方が
健康行動につながるなどを科学的に解明する)
我々がパチンコ店で活動をしていることを知った
東京都の保健師さんが見学にもきた。
「凄いところですね」
「今までの行政サービスではできなかった」
「イベント開催しても、健康意識が高い人達ばかり集まった」
といった感想だった。
公衆衛生と一口に言っても、
ターゲットによってマーケティングは異なる。
Pull営業をすることも重要だが、
その方々の生活導線上にPush営業も重要。
また、健康のためにお金を出さない人がいるため、
きっかけづくりのためには、
第三者に経済的な負担をしてもらうスキームがあってもいい。
健診弱者を救い、生活習慣病予防と医療費削減のためには、
ありとあらゆる方法で、
様々な利害関係者とパートナーシップを組んで
経営的にも成立するのが大事。
パチンコ店でナース服という、
一見、ミスマッチな組み合わせについてでした。
PS 下記は参考資料
https://carepro.co.jp/about/press20130812.pdf
https://carepro.co.jp/about/media20131224.pdf