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公開日:2019/08/23 最終更新日:2019/09/04

代表ブログ

地域包括ケアとICT

日本地域看護学会で、

地域包括ケアにおけるITの活用に関するシンポジウムで、

「ケアプランAI」の発表をしました。

 

発表後、質問が多く、関心や不安について、よくわかりました。

 

 

厚生労働省の研究事業に2年半前から関わっており、

78000人、30万件のケアプランのデータを分析、

1、どのようなニーズ分類があるのか?

2、どのような目標分類があるのか?

3、どのようなサービス分類があるのか?

4、どのような予後になるのか?

5、どのような対象、ニーズ、目標、サービスが、予後を良くするのか?

について、課題はありながらも、これまでのビッグデータを踏まえて、明らかになることがありました。

 

なお、今回の研究では、

Aさん「痛みの緩和を図りながら、治療を継続し、体調管理をしていきたい」

Bさん「体調を管理して、身体機能低下を防ぎたい

と二つの文章があったときに、この違いをコンピュータに理解させるところから始まりました。

大切なテキスト情報ほど、そのままでは、コンピュータは活用できないのです。

テキスト含意分析と構造化をすることで、

Aさん ①体調を維持して生活したい ②痛みをコントロールしたい

    ③定期的に受診したい

Bさん ①体調を維持して生活したい ②身体機能を維持したい

と構造化し、コンピュータが活用できるようにしました。

 

そして、乗り越えるべき課題が整理され、課題を一つ一つ解決するように、

プロジェクトを進めていくことで、世の中で活用されるレベルに到達しそうです。

 

まず、AI 活用における倫理的な課題として、

① AI 開発に使用されるデータの限界をどのようにして解消するか? 

② AI を活用したケアプランに瑕疵があった場合、誰が責任を負うか?

③ AI 開発におけるガバナンス(透明性等)をどのように遂行すべきか?

④ プライバシー性や機密性が高いデータの取り扱いをどのように行うべきか?

⑤ AI が提案したケアプランを誰が、どのように適用すべきか?

 

次に、AI が学習するデータの質における課題として、

①ケアプラン作成の個別化理念との矛盾

②電子化されていないデータの存在

③AI 分析で利用できるデータへの変換

④リハビリ的なケアと援助的なケアの区分

⑤疾病データの信頼性の向上

⑥現在利用可能なデータでは、利用者の状態や支援内容の正確な把握が困難

 

さいごに、AI の出力結果の課題として

①分析結果における専門家による解釈の必要性

②心身状態の変化におけるイベントの影響の排除

③自立度の低下における進行性の疾患の影響の排除

④フレイルによる自然な状態悪化をどのように組み込むか

⑤維持・改善における本人意欲の影響

⑥地域の社会リソースに関するデータの必要性

 

地域医療の利用者ニーズの収集、分析、プラン、評価の仕組みについて、

海外でも様々なものがあり、日本への導入も考えられていますが、

今回の研究では、「お風呂に入りたい!」という日本人らしさが出ており、

日本に蓄積されたテキストデータを活用して、

日本人同士(医師、看護師、ケアマネなど)が意見を出し合いながら、

どのようなツールが必要なのかを議論しながらつくる意義は大きいと感じました。