現在、ブラインドサッカーの国際大会が品川で行われており、感染対策や検査、救護のために、ホテル滞在しています。
今回の大会が、一昨日のNHKで取り上げられていました。
新型コロナウイルスの影響で東京パラリンピックが延期されてから、パラ競技単独の国際大会が国内で開かれるのは初めてです。
アルゼンチンやスペイン、フランス、タイ、日本の選手に加えて、イギリスなどから審判等も参加しています。
初めてが一番大変ですが、手探りの中で、日本ブラインドサッカー協会の皆様が準備されてきました。
今回、私たちも企画から関わらせていただき、ホテル内での抗原検査やPCR唾液採取、救護等を担当していますが、実際に、5月27日から現地ホテル入りし、5月31日までの5日間で、「バブル(隔離空間)」の中に身を置いて感じたことを共有させていただきます。
看護師らも事前の健康チェックと抗原検査
自分の行動履歴の記録を含め、「絶対に体調を崩してはいけない」というプレッシャーの日々でした。
また、大会直前まで、連日連夜、関係省庁やクリニック、保健所、旅行会社の皆様らとやりとりがあり、弊社古川が準備したマニュアル類は膨大なファイルとなりました。
レンタカーで、ホテル入り
ホテル滞在する10日間は、移動するとしたら、レンタカーを使います。
公共交通機関も使えませんし、そもそも、一般の方とすれ違うようなことすらNGです。
ホテルの窓から見える景色が貴重でした(「がん研有明病院」がありました)。
朝4時50分に起床
一般的な一日の始まりは、次の通りです。
・朝5時に自分の検査
・その後、5時15分から大会運営スタッフ、審判らの検査
・SNSグループで、「全員陰性です!」という共有され、試合会場に出発
ホテル内が簡易検査所
ホテルの同一フロア内のエレベーターホールで簡易検査をしました。
古川がDIYで検体置き場を作ってくれたお陰で、生産性は高いです。
各チームを担当するリエゾンの方々のお陰で、検温や健康状態の確認、検査時間等の連絡を行っていただき、助かりました。
英語での検査方法のPOPを用意しましたが、PCR検査の説明書は、日本語のみで、リエゾンの方々にも協力していただく必要がありました。
PCR検査はバイク便
変異株流行国から入国した34名には、入国3日目にPCR検査も行いました。
唾液を採取し、非常口に、手袋をしたIさんが回収しに来てくださり、バイク便で検査に回されました。
水際対策が注目される中ですが、結果は全て陰性でした。
もし、陽性者が1名でもいれば、濃厚接触者も出場制限になり、大会中止リスクにもつながります。
ホテルの中で、4日間、耐え忍ぶ
私は感染対策のため、ホテル4階の部屋と廊下で生活し、ホテルのレストランにも行かず、弁当生活でした。
「明日の朝食はどうしますか。」と配慮していただき、牛乳マストで、要望を伝えさせていただきました。
4階の非常階段口で、ビニール袋に入った食べ物が届けられます。
ある日、カフェオレとメロンパンが入っていて、違和感を感じた私は、担当の方に連絡を取ったところ、違う人のと間違えました、ということもありました。
アスリートの方々の気持ち
視覚障がい者かつ外国人で、しかも、朝早くから検査をしたり、制限が多い生活です。
多くのストレスを抱えながら、パフォーマンスを発揮する必要があります。
そのため、運営スタッフやリエゾンの方々も、当初予定していたスケジュールを変更したり、食べ物などの要望をできる限り叶えるなど、様々な配慮をされていました。
結局は、気持ちの面で寄り添って、できないことは伝えつつも、人として、親切な対応をすることが大切であると学ばせていただきました。
アスリートと受入スタッフの両方の努力
昨今のニュースでは、富山県では、外国の方が夜中に騒いでしまうことを危惧されたり、太田市では、オーストラリアの選手団が滞在することに不安の声が聞かれたりしています。
ルールを示すだけでは難しく、お互いの信頼関係を構築して、協力し合うことが大切です。
今回、日本ブラインドサッカー協会様は、社会に対して積極的なコミュニケーションをとっていらっしゃり、「伝える」だけではなく、「伝わる」ように取り組まれています。
https://www.wgp-blindfootball.com/news
やっと外に出られる
日本ブラインドサッカー協会の松崎さんから「川添さんも、せっかくの機会なので試合を見ませんか」とお声がけいただきました。
そして、大会ポロシャツを身にまとい、非常階段を4階から降りて、膝をガクガクさせながら車に飛び乗りました。
久しぶりに、風にあたり、直射日光を浴び、直接的に世の中の音を聞き、時間を長く感じました。
「このために、やっていたんだ」
天王洲の試合会場に行くと、陽気なBGMが流れていました。
その後、静寂の中で選手が登場し、国歌斉唱をして試合がスタート。
本当に見えていないの?と思うようなプレーを間近で見ることができ、勝ったチームの喜ぶ様子、負けたチームの悔しがる様子には、ぐっとくるものがありました。
ブラインドサッカー
夕刻になると、品川の空には羽田空港に到着する飛行機が増えます。
その時間帯は、試合ができません。
サッカーボールの中に入っている「玉の音」が聞こえないからです。
また、ブラインドサッカーでは、ボールを奪いに行くときは、ぶつかって怪我をすることを予防するため「ボイ!」と声を出すルールがあります。
パラ競技では、人間の声や足、目など、様々な機能や臓器のことを改めて考える機会になります。
そして、スポーツには、すべての違いを超える共通のものがあります。
炎天下の救護ニーズ
ブラインドサッカーは、激しくぶつかり合うため、今回も頭部を縫うケースがありました。
さらに、スタッフを含めて、熱中症リスクがあります。
試合会場での感染対策
トイレは、使用後にドアノブ等を消毒します。
ベンチやフェンス、ポール等も、念入りに消毒されていました。
関係者以外は無観客となり、YouTube配信になったことは残念でしたが、アルゼンチンなどからのオンライン観戦者が多いようです。
試合会場には、朝食等をホテルに持ってきてくださっている旅行会社の方もいらっしゃいましたが、バブルの中にいる私たちとは導線が分かれているため、遠目に挨拶させていただきました。
関係者すべての健康
選手だけでなく、スタッフの健康も大切です。
スタッフが、選手と接するからではなく、スタッフ自身の健康を保障することが必要だからです。
東京オリンピック・パラリンピックでは、大会関係者やボランティアの健康管理や定期検査、そして、近隣住民に対する感染対策等が、懸念されています。
さて、本大会に関わらせていただき、テレビや新聞、政府の説明等では、なかなか伝えられていない国際スポーツ大会における実情があります。
スポーツ競技団体や選手、旅行会社、ホテル、通訳、サッカーナース、医療機関などの協力関係とノウハウです。
検査や救護をする医療職に対しても、気遣ってくださるスタッフや選手、審判の方々がいます。
お互いの役割を認め合い、助け合わないと実現しないことがあります。
6月6日までホテル滞在は続きますので、引き続き、気を引き締めます。
さいごに
選手やスポーツ業界にとっては、応援が大きな力になります。
今のところ、日本は、初戦のフランス、第二戦のタイに勝利!よっしゃー!
6月5日まで大会は続きますので、ぜひ応援お願いします。