暑い暑い沖縄に行った。2年振りに友人看護師に会うと体重が8kgも増えて肥満になっていた。日本一長寿と呼ばれた沖縄が、今や肥満ワーストワンというイメージは完全にインプットされてしまった。「ウチナーンチュ(沖縄人)肥満改善大作戦」という取り組みを沖縄県として取り組んでいるほどだ。今回は、沖縄について分析し、今後の予防医療の在り方について考えたい。
まず、なんといっても、米軍から受けた影響は大きい。1963年には米国スタイルのファストフード店「A&W」が日本初オープンしている。仏教の影響が弱かったことから、本土のように肉食の禁忌がなかったこともあり、早くから肉料理が発達した。ケアプロにも沖縄出身の看護師がいるが、ポテトやスナックが好きで、学生時代は週に3回程度ファストフードを食べていたとのこと。沖縄の男性の5割近くが肥満。私は現地料理が食べられる店に行ったが、現地の伝統的な料理は、海藻や豆、芋など低カロリーで食物繊維の多い食生活だった。
<沖縄の伝統的な料理>
また、亜熱帯気候の中で車社会が発達。およそ人口2人に1台の割合で車があり、成人のほとんどが車に乗っている。鉄道網はなく、商店街もなく、大型のモールへの買い物が多い。沖縄では「サンエー」が有名で、冷房も完備されており、広い店内には様々なお店もあり、非常に便利なのだろう。
そして健康意識にも違いがある。戦後の貧困を経験した方が多く、膨よかな状態が経済的に豊であることの象徴だと思う人は多い。温暖な気候は神経にも影響して、楽観的な方が多いため、本気で変えようという方も少ないのかもしれない。それでも自治体は努力して特定健診の受診率は全国平均32.0%とほぼ同じで34.4%(H22)。西原市では、継続的に健診を受けている方の2年間の医療費は291千円、受けていない方は669千円(H20、21)で2.3倍という数字をホームページから訴えるほどだ。
なお、沖縄では贈り物に「ケンタッキーフライドチキン」を贈る文化があるという。過去の贅沢品としてブランディングされているのだろう。そして、一緒に炭酸飲料を飲む人が多いのだ。
結果として、全国糖尿病死亡率は男女ともに沖縄はワーストワン。新規に人工透析を受ける患者数は全国平均の2倍という数値。しかも、今後の高齢化を考えると、医療費高騰は脅威。現在、人口140万人で合計特殊出生率は1.87人であり、人口増加率は全国4位。まだ14歳以下人口は17.8%と全国都道府県で最も高く、65歳以上人口は17.4%と最も低いのだ。県民一人あたり医療費は25万1282円(H22)と日本一低いものの、今後の伸びは確実だ。
さらに、心配なのは、医療を支える財政。失業率は日本一高い。工業などの第二次産業の比率が日本一低く、東京についで第三次産業が高いという産業構造だ。サトウキビ栽培と観光業は光っているが、今は県庁と米軍基地が人気職場であり、まだ米軍基地関連職業が経済全体の5.2%という依存率。
沖縄の現状は、食の欧米化の影響が遅れて訪れる本土を考える上でも重要だし、東南アジア同様に亜熱帯地方でのモータリゼーションと食文化の変化を考える上でも重要である。沖縄での予防医療の展開を考えつつ、沖縄での学びを活かせるようにしたい。
※なお、本文は「厚生福祉(時事通信)」への掲載記事に加筆・修正したものです。