肝機能を改善するには?どんなことをすればいい?

公開日:2021/10/31  最終更新日:2023/10/16

 

肝機能とは、肝臓の働きのことです。

肝臓には主に以下の働きがあります。

◯貯蔵して合成する働き(代謝)

辞書によると、「代謝」とは「新しいものと古いものが入れ替わること」とされています。

しかし、人の体での代謝というのは、新しい細胞を作って古い細胞と入れ替える働きだけでなく、腸の「栄養吸収」、体温維持のための「発熱」、なども含まれます。

そして肝臓でも例に漏れず、この代謝に大きく関わる働きをしています。

例えば、食事で摂取した栄養を蓄える働きがあります。

胃腸で吸収された栄養素を使いやすい形で貯蔵し、体の必要に応じて放出することでエネルギーを作ることができます。

逆に過食などで栄養を摂り過ぎてしまうと、肝臓で過剰に溜め込んでしまうので脂肪肝のような肝機能の障害に繋がります。

また体を作るさまざまなタンパク質を合成する役割もあるため、非常に重要な臓器です。

◯いらないものを処理する働き(解毒・排泄)

 

肝臓のもう一つの大事な役割は解毒作用です。

一番分かりやすいものでいうと「アルコール」や「薬剤」は、肝臓で毒性の低いものに変化

されて体の外に排出されます。

これらは体の外から入ってきたものの処理ですが、体の中でできた不要なものも無毒化し排出されます。

例えば、食べ物の消化吸収の段階で腸内細菌の作用で発生する「アンモニア」は、人の体にとって有害な物質です。

健康な人であれば肝臓の解毒作用によって無毒化されますが、肝機能が低下すると血液中にアンモニアが増加してしまい、症状が進行すると脳に障害を及ぼすこともあります。

◯胆汁の生成・分泌

胆汁は脂肪やタンパク質の消化吸収に必要な物質です。

またコレステロールを体外に排出する際にも必要になるため、大事な役割を持っています。

肝機能が低下すると、寿命を迎えた赤血球から生成されたビリルビンという色素が肝臓を介して排泄されず、血中に増えてしまい、白目や皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)の症状が表れることがあります。

肝機能検査と病気

肝臓の働きを調べる検査には、血液検査、超音波などの画像検査、肝臓の組織を採取する肝生検があります。

通常の健康診断では、血液検査でAST・ALT・γ-GTPの値を調べます。これらは肝臓などの臓器にある酵素です。肝臓などの臓器が障害されると、血液中に酵素が流れ出すため、値が高くなります。

 

◯ASTとは

 

AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)は、肝臓だけでなく赤血球や心筋・骨格筋など全身に幅広く分布している酵素です。

 

肝機能以外にも、心筋梗塞や激しい運動後など細胞が壊されて数値が上昇します。そのため、ASTだけで肝機能を評価することができません

 

しかし肝障害が進行し、肝臓の細胞が破壊され尽くされるとむしろAST濃度は低下することがあることも要注意です。

 

◯ALTとは

 

ALT(アラニンアミノ基転移酵素)も身体中に広く分布している酵素ですが、特に肝臓に集中して含まれていることが大きな特徴です。

 

そのため、肝障害以外の要因で上がることが少ないため、ASTと比較しながら測定することでより詳細な症状の診断に繋げることができます。

 

◯γ-GTPとは

γ-GTP(ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ)は肝臓や胆管の細胞内に存在している酵素です。

 

健康な人も血液中に存在しますが、特にアルコール性肝障害や薬剤性肝障害、胆道系の疾患、黄疸などで上昇しやすくなります。

 

このように、AST・ALT・γ-GTPの値が高い原因は、急性肝炎・慢性肝炎・アルコール性肝炎・脂肪肝・肝硬変・胆道炎・総胆管結石などの病気や、アルコールの過剰摂取・薬物摂取が考えられます。

 

肝臓は病気が進行するまで自覚症状が出にくい臓器です。そのため「肝臓は沈黙の臓器」と言われることがあるほどです。

 

急性肝炎で症状が出たとしても、倦怠感や発熱など風邪と似ているため、放置されることが多くなっています。

 

そのまま放置し悪化すると、肝炎から肝硬変や肝癌に進行し、足がむくんだり、皮膚などが黄色くなる黄疸、お腹に水が溜まったり(腹水)などの症状が現れます。

 

この段階になって受診したとしても、すでに進行してしまっているため治療が困難なことが多いです。そのため、健康診断などでASTやALT、γ-GTPを測り、今の肝臓の状態をよく確認することが大事になってきます。

 

肝機能の改善

肝機能が悪くなる原因は様々で、全て改善できるわけではありません。

しかし、食事やアルコールによる肝臓の病気は、生活習慣の改善により防ぐことができます。

その中でも食事と運動のポイントについて下記を参考にしてみてください。

 

◎食事のポイント

・主食、主菜、副菜を揃える

・必要量や必要カロリー以上食べない

・野菜、きのこ類、海藻類など、ビタミンとミネラルを豊富に含む食材を積極的に食べる

・野菜など、食物繊維が多い物を積極的に食べる

・魚介類、肉類、大豆製品、卵など、良質なタンパク質を食べる

・油や塩分が多い、ウインナーやベーコンなどの加工品は摂取量を少なめにする

・休肝日は週に2日は設ける

 

◎運動のポイント

・運動習慣を身に付ける

・ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行う

・週3回以上、1回20分以上の運動を行う

・運動前後にはストレッチを行い、怪我を防ぐ

 

まとめ

上記の食事と運動のような生活習慣は、継続が一番大切です。

まだ肝機能に異常が無い方でも、食事内容に不安のある方や運動習慣がない方は、上記の内容を参考にしてみてください。

 

健康診断などの血液検査で、肝機能の数値が悪かった場合には、かかりつけ医や内科の病院で医師の診察を受けましょう。

他の症状や病気がある方は、医師などの専門家に相談をしてから、生活習慣を改善しましょう。

その他の記事はこちら

インタビュー

弊社の健康チェックイベントを導入していただいた企業のインタビュー記事となっております。

社会課題への挑戦

様々な企業と協働しながら、健康に関連する様々な社会課題の解決に取り組んでおります。

レポート

弊社が全国で健康イベントを行い、得られた独自情報を公開しています。

健康コラム

検査や病気について、一般の方向けに解説しています。

あゆみ

弊社の予防医療事業部のあゆみについてご紹介します。