肝機能のALTってどんな項目?何がわかるの?
公開日:2021/10/31 最終更新日:2023/10/18
健康診断で気になる項目は何かありますか?
血液検査で分かる肝機能の数値にどういう意味があるかご存じでしょうか?
肝臓や検査項目についてしっかり理解して、健康状態の改善に活かしましょう。
肝臓ってどんな臓器?
肝臓は重さ約1.5kgの大きな臓器で、役割は大きく3つあります。
❶代謝
食事で摂取した炭水化物や脂質、タンパク質の代謝や貯蓄をおこなう。
❷解毒や排泄
アルコールや薬の成分、体内に入ってきた有害物質、老廃物などを分解し排泄する。
❸タンパク質の合成
酵素や、血液を固めるための凝固因子、アルブミンなど、体に必要なタンパク質を作る。
また、肝臓の細胞では、胆汁という脂肪を消化するための液体を作っています。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、機能が低下しても自覚症状がほとんどありません。
また再生能力が高く、早い段階で原因を取り除けば回復しやすいですが、再生能力以上のダメージがあると病気の原因となるため注意が必要です。
肝機能検査の意義は?
採血で肝臓の機能が分かる項目は、AST、ALT、ビリルビンなど、化学的に検査する方法だけでも数十種類あります。
肝臓には、多くの働きがあり、たくさんの血液が流れていますが、病気になってもあまり自覚症状がありません。
そのため、肝臓の機能が低下しているか定期的に検査を行う必要があります。
早いうちに原因究明ができれば、回復も期待できます。
肝機能の検査は健康診断や特定健診でも測定しています。
特にAST、ALT、γ-GTPの3項目は目にすることも多いです。
健康診断で見るALTって何?
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は体内に存在する酵素のひとつです。
一昔前には、「GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)」と呼んでいた検査項目です。
似た項目にASTとありますが、ALTと区別するうえで重要なのは存在する場所と半減期です。
(※半減期とは…血液中に放出されてから代謝や排泄によって半分の量に減るまでの時間)
ASTは肝臓だけでなく、心臓や筋肉、腎臓や膵臓など幅広い臓器や組織に存在します。
一方、ALTは肝臓に一番多く存在します。
ALTは腎臓にもありますが、肝臓の1/3程度の量です。他の臓器や組織にはほとんど存在していないため、肝臓の状態を反映しやすい項目です。
また、ASTの半減期は11~15時間です。対して、ALTは40~50時間です。
ASTは、急性の症状や正常な肝細胞が減少している肝硬変やがんなどで優位になり、ALTは慢性症状や回復期間中に優位なると言われています。
もし仮に、アルコールを飲みすぎて肝炎になった時はAST>ALTで、治療して治りかけている時はAST<ALTになりやすいと言われています。
肝機能の数値改善にはどうすればよいのか?
バランスの良い食事を取るように心掛けましょう!
昔は「タンパク質をたくさん食べること!」なんて言っていたこともあったようです。
しかし、今は栄養バランスの良い食事をしっかりとることが大切だと考えられています。
肝臓の状態によってはアルコールや油や脂肪の多いものは控えましょう。
また運動は予防的に行うのが良いとされていますが、肝臓は血流が多い場所なので症状がある方は主治医の先生の指示に従ってください。
◎参考資料
1)一般社団法人 日本移植学会 臓器移植Q&A 肝臓について
http://www.asas.or.jp/jst/general/qa/liver/qa1.php
2)よくわかる!肝機能ナビ
3)第50回日本理学療法学術大会 肝機能障がいラットにおける発症前後の運動の影響
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