検体測定室における精度管理について

公開日:2022/07/25  最終更新日:2023/11/21

ケアプロでは血液を測定するサービスを提供しているため、測定値の品質確保に努めています。その中でも、血液検査における測定結果の精度管理について説明します。

<精度管理って???>
検体測定室で測定された採血結果は診療に用いることはできません。
しかし、測定結果に対し一定の質を担保することが「検体測定室に関するガイドライン」で定められています。

精度管理には以下の二種類があります。
・内部精度管理
・外部精度管理

ではそれぞれについて、簡単に解説します。

<内部・外部精度管理について>
★内部精度管理
社内のみで行う精度管理のことです。ケアプロでは測定日毎の点検とともに、半年に一回、事務所に所有する機器を並べて同時に全て測定することにより信頼性が低い機械がないかを確認しています。
(過去の内部精度管理の様子はこちら

★外部精度管理
複数の検査機関で同じ血液を検査し、自社の測定結果と社外施設の測定結果が同じような結果になるか確認することで、所有機械の信頼性を確認しています。

これにより日本全国、どこの検体測定室で測定しても信頼性ある結果を得ることができます。
ケアプロでは年一回「検体測定室連携協議会」が主催する外部精度管理調査へ、主に参加しています。(年度により他団体が実施する調査に参加することもあります)

<精度管理の実施者について>

内部精度管理調査、外部精度管理調査ともに、臨床検査技師の資格をもち医療機関や大手衛生検査所で日常的に測定値の精度管理を行っていた経験をもつ自社スタッフ2名により実施されています。(2022年7月現在)

<現在参加している検体測定室連携協議会の実施する外部精度管理調査への参加概要>
【実施頻度】
年1回

【試料の測定】
実施機関より送付された試料(血液)を指定されたタイミングで測定します。
試料が送付された時点では、その試料の測定結果の目標値を知ることはできません。
一つの試料につき2回ずつ測定し、2回の結果とも報告します。
送付される試料の個数は測定される項目や実施回などにより異なることがあります。

【結果の評価について】
すべての参加施設のデータが揃うと分析され、各施設に評価結果が返却されます。
この時に初めて、送付された試料の測定結果の目標値がいくつなのかを知ることができます。
各施設はその結果を確認し、各項目ごとに定められた基準を満たしていない場合メーカー等に連絡し測定の信頼性を確保する事が求められます。

<ケアプロの過去の参加実績について>
・評価は「測定値の平均値」と「目標値」とどれくらい離れているかが対象となり「相対バイアス」として表示されています。

※「相対バイアス」とは目標値に対しての測定値の偏りのことで「0」に近いほど、測定値の誤差が小さく、精度が良いと言われています。調査では実施機関が決めた範囲内であれば「範囲内」と評価され、
今回の精度管理調査では問題は認められませんでした」と結果が返却されます。

【HbA1c】 送付された試料は「試料1」「試料2」の2種類

目標値
(%)
測定値1回目
(%)
測定値2回目
(%)
測定値
の平均値
(%)
目標値に対しての相対バイアス(※)(%) 評価基準 評価
2020年度
(第6回)
試料1 5.47 5.4 5.5 5.45 -0.4
相対バイアス
±6%以内
範囲内
試料2 7.99 8.0 8.1 8.05 0.8 範囲内
2021年度
(第9回)
試料1 6.04 6.3 6.3 6.30 4.3 範囲内
試料2 9.19 9.4 9.4 9.40 2.3 範囲内

 

【脂質検査】 送付された試料は1種類のみ。

目標値(mg/dL) 測定値1回目
(mg/dL)
測定値2回目
(mg/dL)
測定値の
平均値
(mg/dL)
目標値に対しての相対バイアス(%) 評価基準 評価
2021年度
(第1回)
総コレステロール 163.2 156 157 156.5 -4.1

相対バイアス

±15%以内

範囲内
中性脂肪 73.3 74 74 74.o 1.0 範囲内
善玉コレステロール 54.3 57 58 57.5 5.9 範囲内
悪玉コレステロール 94.3 84 84 84.0 -10.9 範囲内

 

★検体測定室連携協議会の外部精度管理調査 の全体の結果等は「検体測定室連携協議会 外部精度管理調査結果報告」のホームページをご覧ください。

<まとめ>
今までの調査では評価範囲から外れることはありませんでした。しかし、自社のみで測定を行っていると気づかぬうちに機器の測定結果の信頼性が低くなっていることがあります。
外部精度管理調査は測定機器の年一回の健康診断のようなものです。
これからも引き続き参加し、信頼性の担保に努めます。

 

<2023/03/22追記>

2022年度は CAPサーベイ(米国病理医協会が行う世界最大規模の包括的な技能試験プログラム)へ参加いたしました。

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