卵巣がんの症状とは?早期発見するために心がけることは?

公開日:2023/07/05  最終更新日:2023/09/11

みなさんは、卵巣がんがどのような症状かご存じでしょうか。

また卵巣がん検診を受けたことはありますか?

 

実際、子宮頸がん検診のような集団検診は行われていませんが、症状が出て受診して発見される時には症状が進行して、手遅れになる方が多い病気です。

今回はどのような症状や対策ができるのかお話していきます。

 

卵巣がんとは?

そもそも卵巣は子宮の両脇に1つずつ付いている親指の頭ほどの大きさで楕円形の形をした臓器です。

卵巣の中では、卵子の生成と成熟、排卵を行う場所であり、女性ホルモンを分泌する場所でもあります。

 

卵巣の代表的な病気としては、卵巣炎(卵管炎)、子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢胞)、卵巣腫瘍が挙げられます。

このうち、卵巣炎は下腹部が張って苦しく、高熱や嘔吐の症状が発生するので症状に気づきやすいです。

子宮内膜症の代表的な症状は、だんだんと強くなる月経痛や腰痛、妊娠を希望する方は不妊検査で気づくことがあります。

 

では、卵巣がんはどうでしょうか?

卵巣がんは年間9000人ほどが発症し、約4500人ほどが亡くなっているため、死亡率がとても高いことが特徴です。

なぜこんなにも死亡率が高いのかというと、初期症状が少なく、気づかないうちに症状が進行してしまうことが多いからです。

 

実際、卵巣がんを発見した時にはすでに腹膜やリンパ節、他の臓器に転移していると言われています。

そんな卵巣がんは、近年のライフスタイルの変化や食事の欧米化によって増加してきています。

症状が少なく、卵巣がんと診断された後の死亡率が高いため、できるだけ早期発見し早期治療することが大事になってきます。

 

卵巣がんの症状とは?

初期症状は少なく、気づかれにくいので治療が遅れてしまいやすい卵巣がんですが、症状が出始めたとしたら、どのような症状が出現するでしょうか

お腹の張り、腹痛、腰痛

腫瘍が大きくなりお腹に違和感を感じはじめます。

お腹の中でがんが飛び回って炎症を起こし始めると腹水が溜まりだしてきます。

腫瘍が大きくなり、腹水もたくさん溜まってしまうと、お腹が出てきて服のウエストがきつくなったり、しこりが触れる事があります。

特に激しい腹痛の場合は 卵巣の腫瘍が破裂していたり、卵巣茎捻転といい、子宮と卵巣をつないでいる索と卵管や血管が捻じれてしまって、卵巣が壊死してしまっていることがあります。

お腹の張りや腹痛が少しでも気になったら、病院を受診するのが良いです。

 

頻尿、便秘、吐き気、食欲がなくなる

腫瘍が大きくなり膀胱や腸を圧迫すると頻尿や便秘の症状がおきたり、卵巣がんが腹膜という、お腹の臓器(小腸や肝臓など)を覆っている膜に転移してしまうと、腹水が溜まり臓器を圧迫し、吐き気や食欲不振をおこすことがあります。

その他にもがんの種類によって、女性ホルモンがたくさん分泌されることで若返って見えるようになったり、男性ホルモンがたくさん分泌されて男性っぽい見た目に変化することもあるそうです。

これまで説明してきた症状は、お腹の臓器を覆っている腹膜と呼ばれる組織にがんが広がっている状態がほとんどです。※1

最悪の場合、がんが腹膜から飛び出して他の臓器に転移していることもあります。

このように、症状が出始めた頃にはがんが転移している事もあるため、初期の段階で発見するには定期的な検査が重要になってきます。

卵巣がんになりやすい人やリスクになる要因って?

症状について説明してきましたが、卵巣がんになりやすいポイントはあるのでしょうか。

年齢は50~75歳に多く、妊娠出産経験のない人は要注意

卵巣がんは40代から徐々に増え始め、50代〜60代が最も多いです。

発症の原因は排卵回数が多いことが挙げられます。

なぜ排卵回数が多いとリスクが上がるのか?

卵巣は排卵の度に少しずつダメージをうけています。

通常は排卵のダメージを修復して、次の排卵に備えていますが、修復がされなかった際にがんになる危険性が高まります。

家族に卵巣がんや乳がん、直腸がんがある人

卵巣がんの発生には遺伝的な要因が大きいと言われています。

卵巣がんと診断された方のうち17%ほどががんの発生や進行に関連のある遺伝子に変異があることが分かっています。

さらに卵巣がん発生に関わる遺伝子(BRCA遺伝子)は、乳がんやすい臓がん、前立腺がんでも確認される遺伝子です。

遺伝の特徴として、性別に関わりなく50%の確率で遺伝すると言われているので、ご両親や祖父母に乳がんやすい臓がん、前立腺がんになった方がいる際は定期的な検査を受けられるのがおすすめです。

肥満の方

なぜ肥満がリスク要因になるのか。

閉経前までは女性ホルモンが卵巣で作られていますが、

閉経後は、腎臓の上にある副腎と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンと脂肪細胞に存在する酵素を元に作られるようになります。

肥満の方は体脂肪が多い傾向があるので、女性ホルモン(エストロゲン)がたくさん作られてしまい、結果卵巣の細胞が成長することでがんになるといわれています。

大きく3点の要因をお話してきましたが、他にも子宮内膜症があり、卵巣にチョコレート嚢胞を持っている人はガン化しやすい、食生活の欧米化のようなライフスタイルの変化などによって発症する要因はさまざまあります。

 

卵巣がんの予防方法とは?

症状やリスクについて説明してきましたが、予防方法はどのようなものがあるでしょうか。

結論をいうと、現在のところ確実な予防方法は確立されていません

ただし、家族に卵巣がんや乳がんがいらっしゃる方は遺伝子変異のリスクがあるため予防的な卵巣摘出手術を行う場合もあります。

確実な予防方法が確立されていない為、卵巣がん検診として定められている検診はありません。

気になる症状がある場合やリスク要因の高い人は、かかりつけの産婦人科をはじめとした医療機関に相談するよう心がけましょう。

一方で、基本的ながん予防方法は効果があることが分かっています。

肥満もリスク要因である旨をお話しましたので、体型維持や管理を意識しながら下記を心がけてみましょう。

・禁煙
・節度のある飲酒
・バランスの良い食事
・運動習慣
・体重管理
・感染症の予防

実際どんな検査をするの?

卵巣がんを疑われた場合、主に5つの検査を順番に行う事が多いです。

・触診、内診、直聴診
・超音波検査
・CT、MRI検査
・細胞診や組織検査のような病理検査
・血液検査(腫瘍マーカー検査)

このうちがんの早期発見を目的とした検査は超音波検査やCT、MRI検査が多く行われています。

病理検査は手術で確認し、血液検査は診断の補助や治療効果の確認に使われることが多いため、がんと確定した後に行われることが多い検査です。

 

まとめ

・卵巣がんの症状がほとんどない為、発見が遅れてしまいやすい
・お腹の張りや腹痛、腰痛といった症状が出現するころには症状が進行していることが多い
・家族に卵巣がんや乳がんの人がいる場合は要注意
・日頃の生活習慣を見直して、体重管理や食習慣で予防できることもある
・早期発見、早期治療をするためにかかりつけの産婦人科や医療機関をもつようにしてみよう

※1 卵巣がん手術進行期(ステージ)分類のⅡ~Ⅲ相当

 

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