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公開日:2014/07/08

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インドネシア視察② ココナッツと食文化

※なお、本文は「厚生福祉(時事通信)」への掲載記事に加筆・修正したものです。
ゴールデンウィークのインドネシア視察では、WHOやJICAに勤務する専門家の方々やJICAで日本企業連携を担当する方、インドネシアの大学教員などとの面談の機会を持たせて頂いた。
インドネシアでは、死因(WHO, 2011)は、64%がNCDs、30%が心血管疾患、3%が糖尿病となり、リスク要因(WHO, 2011)として、高血圧37.4%、高血糖6.3%、喫煙率28.2%(男性53.4%)となっていた。特に都心でリスクや罹患率が高まっている。
JICAや日本企業の駐在員の中でも赴任先で食習慣が悪化して心筋梗塞になる人が増えているとのこと。企業側にとっては職員の治療費が大きな負担にもなる。JICAのある方はコレステロールが要注意で、再検査で悪化していると帰国させられるので、健診前は食事のコントロールをしていると。
温暖な島国という特性から魚介類や野菜類、穀類は豊富で、料理としては、魚の煮付け、鶏の唐揚げ、パパイヤの炒めもの、だし汁で炊いた米、とうもろこしのかき揚げ、豆と唐辛子の野菜炒めなどをよく見た。味付けは甘辛く、揚げたものが多く、暑くても食欲をそそるものではあるが、塩分、糖分、脂質は多かった。
「サンタン」というココナッツミルクの料理油が特徴的で、高脂血症や痛風に大きな影響を与えていると指摘されている。
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インドネシアの大学教員の方と研究室でランチ会議をした際に、デリバリー弁当を食べたが、米、骨付き鶏肉、油揚げ、さつま揚げ、ココナッツミルクなどが入っていた。鶏肉とココナッツミルクはどこでも出てくるもので、非常に美味しく、しかも200円程度で安いためハマりやすい。
そして都心にはファストフードやコンビニ、ドーナツ屋、シュークリーム屋など日本企業も含めてジャンクフードをよく目にしたが、ジャカルタには中間所得層以上が500万人いると言われ、彼らがターゲットとなっており、ますます、生活習慣病のリスクは高まっていく。結婚した後は太っていることが富の象徴でもあるようだが、女性が30歳をこえると急に太りだすらしい。また、驚いたことに日本よりも億万長者が多く、インドネシアには人口の1%(250万人)が億万長者であり、ジャカルタの「SOGO」といった高級モールではスタバを飲み、高級車を運転する太り気味の方が大勢いた。
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今は、糖尿病の罹患率(BPPK-KKRI, 2013)は、インドネシア全体で1.5%、ジャカルタが2.5%で最も高く、都市部で2.0%、農村部で1.0%、富裕層が2.6%となっている。しかし、平均年齢が30歳の時点の数字であり、今後平均年齢が高まれば、間違いなく生活習慣病と医療費は増える。
生活習慣病のリスクが高まっているインドネシアにおいて、現在の医療システムはどうなっているのか、次回見ていきたい。